2025年12月。今年もまた、広告運用の激動の1年が終わろうとしています。
1年前、私たちは「AIによって運用者の仕事がなくなる」という言説を耳にしていました。
しかし、2025年末を迎えた今、私たちが実感しているのは全く違う状況でした。
AIが進化すればするほど、それを使用する人間の介在価値が高まった1年だったということです。
今回は、2025年のGoogle・Yahoo!広告の主要アップデートを振り返りながら、AI全盛時代における「広告運用」の在り方まとめます。
FFC広告代行は多数のご相談に対応!一例を挙げます。
【ご相談内容】
除菌・洗浄装置の開発企業様。
今まではコロナ対策で販売をしていたが、コロナが落ち着いて来たこともあり、今後は花粉対策としてアピールしたい。
リスティング広告を考えている。
【現状・過去の施策】
・自社でのリスティング広告を実施
【ゴール】
もっとCPAを下げたい
1. Google広告:AI Maxへの統合と「アセット」至上主義の加速
2025年のGoogle広告を象徴するのは、検索広告の枠組みを書き換えた「AI Max for Search」への完全移行でした。
従来のレスポンシブ検索広告(RSA)は、アセットの組み合わせを最適化するものでしたが、AI Maxは「検索クエリ」「入札」「ランディングページ」「ユーザー属性」をリアルタイムで横断的に判断し、最適なタイミングで広告を生成・配信する仕組みへと進化しました。
ここで現場の運用者を悩ませたのが「意図しない拡張」です。
AIはコンバージョン獲得という目的のために、時にブランドイメージを損なう検索語句への入札や、文脈として不自然なキャッチコピーを勝手に生成してしまう事象が散見されました。
「AIが自動でやってくれる」からこそ、運用者には「アセット(素材)の品質管理」と、AIが踏み越えてはいけない「ガードレールの設定」という、ディレクション能力が求められるようになったのです。
2. Yahoo!広告:LINEヤフー統合の結実と「生活文脈」の支配
一方、Yahoo!広告においては、LINEとのID統合が進んだ1年でした。
検索広告の管理画面から、LINEのトークリストやタイムライン、さらにはPayPayの決済データを活用した購買意欲の高い層へのアプローチがシームレスになりました。
特に「検索広告(ショッピング)」の一般開放は、Eコマース事業者にとって大きな転換点となりました。
ここでも「自動化」の罠は潜んでいました。
LINEの膨大な面に広告が広がることで、検索意図が希薄なユーザーへの配信が急増。
「CPA(顧客獲得単価)は目標内だが、実はリピート率の低いユーザーばかりが集まっている」という事態です。
2025年のYahoo!運用において重要だったのは、AIが導き出す「効率」の裏側にあるユーザーの状況を見極め、配信面をあえて手動でコントロールする力でした。
3. なぜ2025年も「手動調整」が必須だったのか
弊社の広告運用代行では、入札においてAIによる自動入札を活用することはありますが、2025年末時点でも「アカウントの根幹」は一貫して手動管理を続けています。
昨今、自社運用からの切り替えや、他代理店からのリプレイス案件で既存のアカウントを診断させていただく機会が増えています。
そこで目にするのは、AIに任せきりにした結果、危機的な状況に陥っているアカウントの姿です。
具体的には、以下のような問題が常態化しています。
- 計測の不備による「空回り」: 正確なコンバージョン計測ができていないままAIを走らせ、無価値なクリックに予算が投じられている。
- 配信意図の致命的なズレ: ターゲットではない層や、ブランドイメージを損なう検索語句にまで広告が拡張され、本来の目的から大きく外れている。
- 「広がりすぎ」による予算の散逸: AIの拡張機能によって、コンバージョンに繋がりにくい周辺キーワードまで網羅され、肝心の「勝ち筋」に予算が回っていない。
「予算が無限」ではないからこそ、手動が必要
もし広告予算が潤沢にあり、「市場のすべてを網羅したい」というフェーズであれば、AIに任せきる運用も一つの正解かもしれません。
しかし、多くの企業にとって、広告予算は限られた貴重な経営資源です。
限られた予算の中で、1円の無駄もなく効率的に利益を最大化させるには、現時点のAIはまだ繊細さに欠けます。
AIは「効率よくクリックを集める」ことは得意ですが、「このキーワードは成約に近いが、この類似キーワードは冷やかしが多い」といった、ビジネスの現場感覚に基づいた取捨選択はできません。
「AIが自動で広げてくれる」という言葉は一見魅力的ですが、裏を返せば「意図しない場所に予算が漏れ出している」リスクと隣り合わせです。
だからこそ私たちは、機械任せのブラックボックス化を拒み、「なぜこの枠に、この金額で出すのか」という意図を、一クリック単位で手動コントロールすることにこだわり続けています。
2025年末時点ではこのような管理こそが、運用代理店を利用する価値としてとらえています。
4. 2026年への展望:運用代理店は「AIの操縦士」へ
2025年を振り返って思うことは、「運用とは、AIに正しいプロンプト(指示)を与え続け、その暴走を監視する行為である」ということです。
レバーを引く作業は減りましたが、ハンドルを握る責任はより重くなりました。
2026年は、SGE(生成AIによる検索回答)がさらに浸透し、検索結果の形そのものが変わっていくと思われます。
しかし、どれだけ技術が変わっても、「誰に、何を届けたいか」という本質を見届ける「人の眼」の重要性がかわりません。
まとめ
2025年末時点で、私はAIを盲信しませんが、かといって、AIを拒絶もしていません。
実際に広告運用の問題をAIに問うこともありますし、仕事以外でAIを使う機会も増えてきました。
最新テクノロジーを使い倒し、その上で「AIには見えていない部分」を手動で補完する、これが現在の私の原則です。
2026年末にはAIがどのような進化を遂げているのか楽しみです。

