リスティング広告の配信が始まると、そこからは管理と運用をおこなっていかなければなりません。
リスティング広告に限らず、インターネット広告のほとんどが「運用型」だからです。
というのも、TV広告やチラシ広告とは違い、インターネット広告は媒体各々の管理画面から広告費・表示回数・クリック数・クリック率・クリック単価・成約数・成約率などあらゆる結果が数値化されて把握することができます。
そして、そのデータが溜まれば溜まるほど、効果の良いもの悪いものもはっきりとわかってくるため、次に何をしたらいいのかということが見えてきます。
ですが、データをうまく活用ができないと、成果の原因や改善すべきポイントが分からないといった事態に陥ってしまうこともあるのではないでしょうか。
今回は、リスティング広告運用後に管理していく数字と改善項目について解説していきます。
確認指標と関係性のおさらい
リスティング広告を運用していれば、自然と触れる機会がある用語になりますが一度おさらいをしておきます。
略語 | 名称 | 意味 |
IMP | インプレッション | 表示回数 |
CL | クリック数 | クリックされた回数 |
CTR | クリック率 | 表示回数に対してクリックされた確率 |
CPC | クリック単価 | 1クリックに対してかかった広告費用 |
CV | コンバージョン数 | 成果ポイントの計測数 |
CVR | コンバージョン率 | クリックに対して成果をあげた確率 |
CPA | コンバージョン単価 | 1件の成果をあげるためにかかった広告費用 |
これらは、最低限日々の運用の中で変化がないかを確認していかないといけない指標です。
しかし、各指標の数値を追うだけでは意味がありません。
コンバージョン(CV)を増やすことが目的
基本的に、リスティング広告というのは、成果(CV)をあげるために配信することがほとんどだと思います。
このコンバージョン数を増やすために、その他の指標を改善していかなければなりません。
理解しておかないといけないのは、コンバージョン(CV)というのは、次の指標の結果によって決まるということです。
CV = IMP × CTR × CVR
つまり、コンバージョン数(CV)を増やしていきたいということに対して、リスティング広告の運用としてできることは、
- 表示回数(IMP)を増やす
- クリック率(CTR)をあげる
- コンバージョン率(CVR)をあげる
ということが考えられます。
ちなみに、クリック数(CL)は、
CL = IMP × CTR
で表すことができるので、コンバージョンを増やすためにできることを簡単に表現すると、
「クリック数を増やすか、コンバージョン率をあげる、もしくは両方あげる」
ことになります。
計算式は掛け算なので、いずれかの改善を行えばコンバージョン数は増えるはずです。
一度にすべての施策がとれなかったり、一度に色々やってしまうことで何が良くて何が悪いかがわからなくなってしまうこともあります。
まずは問題点をみつけることからですが、その後は一つずつでも構わないので改善の手を打つことが「運用する」ということになります。
各指標の改善策
上述した、コンバージョン数をあげる方法として、
- 表示回数(IMP)を増やす
- クリック率(CTR)をあげる
- コンバージョン率(CVR)をあげる
ということがわかりますので、あとはそれぞれの数値をどのように改善していくかが問題になってきます。
表示回数(IMP)を増やす
表示回数を増やすことは、まず広告予算をあげるということが挙げられます。
広告予算をあげることにより、配信量が増えることになります。
特に少額予算でインプレッションの損失などを起こしている場合は注意が必要です。
次に考えられるのは、キーワードの追加です。
キーワードを増やすことは、広告表示させる可能性のある状況が増えることになりますので、現在の登録キーワードから派生させることができるキーワードがないか探ってみましょう。
また、キーワードのマッチタイプを変更してみることも施策として考えられます。
特に部分一致以外のマッチタイプでキーワード構成をしている場合には、キーワードの拡張がおこらないため有効です。
最後がキーワード入札単価の設定です。
もし、個別クリック単価や上限クリック単価で入札設定をしている場合、入札設定が低すぎると広告表示がされていない場合もあります。
まずは、現状のクリック単価でおよそどの順位に広告表示されているか確認してみましょう。
ここでの施策は、あくまで表示回数(IMP)を増やすための施策です。
予算に決まりが合ったり、キーワードの拡張が難しかったりすることもあるかと思います。
もし、予算に都合がついたり、明らかに表示回数が少ない場合はここから手をつけてみることを考えてみてください。
クリック率(CTR)をあげる
クリック率をあげるためにできることは、広告文の掲載順位をあげることか、広告文を改善するということです。
特に、運用者として最初にできることは後者の広告文の改善になります。
ユーザーのニーズに合った広告文というのは、GoogleやYahoo!からの評価も高まります。
もし、今の広告文よりもさらに魅力的な広告文ができれば、GoogleやYahoo!の評価もあいまって掲載順位自体もあがることになります。
なので、広告文というのは常によりよい訴求ができないかを考えていく必要があります。
また、掲載順位の決定指標としては、広告文の品質と入札金額でのオークションになるので、同じ広告文の場合、入札金額で表示順位もかわります。
入札金額もは、予算や上限単価の決まりがあったりすると変更することが難しいかもしれませんが、広告文の変更はいつでもできますので、まずはそちらから施策を打つべきではないでしょうか。
コンバージョン率(CVR)をあげる
コンバージョン率をあげるためには、広告以外のランディングページの見直しも必要となってきます。
いくら良い広告文で、狙ったキーワードでクリックをしてもらっても、クリック後のウェブサイトで離脱されてしまってはコンバージョン数はあがりません。
現在までの運用で、明らかにコンバージョン率が悪いという場合は、ランディングページを改善するということも考えなくてはなりません。
逆に、ランディングページに来てもらえればある程度コンバージョンはするという場合、さらにコンバージョン率を高める施策としては、無駄なクリックを減らしていくことになります。
コンバージョン率は、
CVR = CL ÷ CV
という関係性になるため、無駄なクリックを抑えれば、コンバージョン率は改善します。
無駄なクリックを抑えるためには、キーワードの見直し・広告文の改善・除外キーワードの強化などが挙げられます。
これらも、日々の運用者の作業として修正をしていくことができます。
キーワードの見直しについては、クリックはあるけどコンバージョンに至らないキーワードを停止したり、入札単価を抑えたりすることで表示回数を減らすことができます。
除外キーワードの強化については、キーワードの検索語句(クエリ)から、明らかに関連性のない検索語句が見つかりしだい、除外設定をかけます。
特に、マッチタイプが部分一致のキーワードには注目した方が良いです。
【まとめ】リスティング広告運用後の改善項目の見つけ方
今回は、リスティング広告配信開始後の運用改善について解説しました。
何をしなければいけないかは、ある程度ロジカルにわかりますが、どのように手を加えるかは運用者次第になります。
また、予算の都合や予めの決まりごとなど自身の判断では変えられないこともあるかと思いますが、何が悪いかをしっかり把握し、上司やクライアントに説明ができればその状況が変わることもあります。
日々の数値管理の中で、課題になる指標をいち早く察知し、繰り返し改善施策を行っていきましょう。